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脳筋経営がエンジニアを消費した時代

日本IT産業の構造問題 公開: 2026.03.09
#マネジメント #IT業界 #構造問題 #経営

第1次AIブームとProlog

Prologという言語をご存じだろうか? 1980年代の最初のAIブームでもてはやされた言語だ。論理と推論のルールを定義することでプログラムを組み立てる宣言型言語で、結論を導き出すAI的な処理が得意とされた。

% 家族関係を定義し、祖父母を導き出す
parent(john, mary).
parent(mary, bob).
grandparent(X, Z) :- parent(X, Y), parent(Y, Z).
% "john is bob's grandparent?" という質問に自動で答えられる

メダカマーク:-が特徴で、ルールをプログラムするのだが、私ごときの「にわか」ではPrologの実力を理解できず、こんな言語がとても現実的だとは思えなかった。でも「ルールを記述する」という概念は、後々、仕事で役に立つのだった。

脳筋の経営陣

1988年の秋、某企業の新社屋お披露目会に連れていかれたときのことだ。どや顔で話す社長だか会長だかの挨拶もまた私には衝撃的だった。

「これからはPrologの時代です! Prologを使えばCOBOLの10分の1でプログラムが書けます! うちはシステム開発をすべてPrologで行います!」

COBOLの10分の1でコーディングできるからって、全社Prologにする…はあ???

別の現場では、一次請けの社長が「C言語もCOBOLも頭文字が同じだから似たようなものだろう」と言い放ち、COBOLの若手プログラマーをC言語の案件に割り当てた。メモリを直接操作するポインタ言語と、ビジネスロジック特化の業務言語が「似たようなもの」であるはずがない。

  • COBOLの10倍生産性がいいから、すべてPrologで開発する
  • COBOLもCも頭文字が同じだから似たようなものだ

このような単純思考があまりにも脳筋というか、短絡的というか、人権無視というか…プログラマーやSEは人間であって、商品や使い捨ての道具ではない。

エンジニアを消費して肥大した会社たち

当時、いや、今でもそうだが、ソフトウェアベンダーの経営陣は営業上がりが大勢であり、ベンダーという名の派遣業というか、人身売買会社であり、売上のためなら何でもする。それが営業の神髄だが、そのツケは確実に開発陣に回り、めぐりめぐって今の日本に返ってきているように思う。

大勢の若者の心身を踏みつぶし、消費して、大きく育った会社がどれほどあることか。

今なら「社畜」と呼ばれる人材を、当時は「企業戦士」と呼んでいた。ブラックが当たり前だったから、ブラック企業なんて呼び名はなかった。そこで生き抜いた人材こそが優秀な人財なのです——そういう認識を持った人たちが、今の50代以上だ。かつての私も、その一人だった。

BIGモーターに代表されるように、平成の成功体験が染みついた人たちは、令和の今でも変わらず昭和のやり方を続けてきたと言えないだろうか? これが実質的な労働生産人口を減少させ、今の日本を作ってしまった一因だとは言えないだろうか?

某企業の社長だか会長がステージで得意げに言った。

「わが社は毎年400人を採用しています!」

でも、この会社は社員数が10年間変わらないんだよな。先輩がボソッとつぶやいていた。

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